日本にはさまざまな言い伝え、迷信がいまだに多く存在しています。
そのなかでも「靴ひもが切れたら不吉」というのは聞いたことないでしょうか?
言い伝えは根拠のない昔からの言い伝えと感じている人もいるかと思います。
しかしどうしてその言い伝えが生まれたのか、いまだに伝わっているのかという由来があるものもたくさんあります。
その由来を知ることで日本の習慣や風土もより深く知ることができます。
今回は「靴ひもが切れたら不吉」といわれる由来などについてご紹介します。
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「靴ひもが切れたら不吉」の由来は江戸時代の習慣による?
遠くさかのぼること江戸時代に「靴ひもが切れたら不吉」と言い伝えられるようになったようです。
それは日本の葬儀の習慣に大きく関わっています。
江戸時代で葬儀を行う際、火葬はせずに人々が担いで死者が眠っている棺を墓場まで運んでいました。
一般的に、死者を埋葬したのちに自分たちの履物の鼻緒を切って墓地の入り口に捨て、新しい履物を用意して帰っていました。
墓場の土に存在している魔物や幽霊に憑りつかれないように、墓場の土を踏んだ履物は墓場に置いておくのが習わしだったようです。
江戸時代では死に関係する催しに使った履物を自宅に持ち帰ることはタブー視していました。
鼻緒を切る理由は魔物や幽霊が置いて行かれた履物を使って歩き回らないようにという意味があるようです。
江戸時代の人々にとって靴は魔物や幽霊といった死の穢れという存在から自分を守ってくれる大事な存在です。
その靴ひも(鼻緒)が切れるというのは消耗されたからではなく、不吉の予兆として考えられていたようですね。
同時に埋葬後に鼻緒を切って履物を捨てているところから、そうでないときに靴ひもが切れるのは死を連想させ不吉といわれているのかもしれません。
現代における「靴ひもが切れたら不吉」
現代では一部で土葬ができるところがありますが、一般的には火葬が当たり前になりました。
同時に下駄や草履といった履物からスニーカーや革靴といった履物に変化しました。
埋葬の方法や日常生活に使用されるものが劇的に変わっても、日本人に根付いている死生観とはあまり昔と大差がないように感じます。
死に関しては古来からさまざまな見解がありますが、盆行事や形が変化しても死者を弔う葬儀など、昔から伝わる死生観は現代にも伝わっています。
タブー視している、または直接的に死に関連すると考えているなどではないと思いますが未だに「靴ひもが切れたら不吉」という死生観から訪れる言い伝えは現代でも生きているのだと思います。
日本人の80%ほどは仏教を信仰していますが、そのなかでも信仰心を感じているのは2%ほどといわれています。
宗教概念に関わらず、日本人には死生観が昔とあまり変化せずに継承されているのではないでしょうか。
また現代の事情として、靴ひもは非常に丈夫でなかなか切れません。
普段切れないものが突然切れてしまうと昔からの言い伝えである「靴ひもが切れたら不吉」というのが気になるのではないでしょうか。
そのようなことから「靴ひもが切れたら不吉」というのは由来を知らなくても日常生活で気になってしまう言い伝えなのだと思います。
靴に関連する言い伝えを知ろう
江戸時代の靴に関する言い伝えとして「夜に靴をおろすと縁起が悪い」というものもあります。
当時、新しい履物をおろすのは通夜に出席するときくらいだったことから生まれた言い伝えのようです。
これも死を連想させることから不吉といわれているようですね。
この言い伝えに関しては「夜に靴をおろしてすぐに出かける場合は靴を少し汚す」「夜に靴をおろすと死ぬ」などの言い方は違えどさまざまな形の言い伝えがあります。
江戸時代で夜に行われる冠婚葬祭といえば葬式のみだったとこからこういった言い伝えが数多くあるようですね。
また、新しい履物は葬儀の際に履かせるため「新しい履物を生きている人が夜におろすことはタブー」と思われていたようです。
まとめ
・「靴ひもが切れたら不吉」は江戸時代の葬儀が由来。
・現代においても「靴ひもが切れたら不吉」というのは今日の占い程度には気になる。
・死に関する催しと靴の関係は深い。
「靴ひもが切れたら不吉」というのは由来を知らなくても気になる人は少なくないのではないでしょうか。
朝一番に見る今日の占い程度には気にしている人もいるかと思います。
靴ひもは丈夫なものになったからこそ、稀に切れると言い伝えがなんとなく気になってしまいますね。
日本における死生観はあらゆる形で未だに継承されているため、完全に無視をできる言い伝えではないのかもしれません。