私達の生活に非常に密接に関係している生命保険。

そんな生命保険会社を選ぶ際に何を見て決めますか?

保障内容や保険料など、判断する材料はたくさんあると思いますが、一度契約すればよほどのことが無い限りその生命保険会社とは長いお付き合いになるはずです。

保険会社の毎年の収益がしっかりと出ているようであれば、その会社の将来性や事業の安定性が見込めると言えます。

反対に、毎年業績がマイナスだったり年々業績が下がっているような会社は、今後の経営が不透明で、もしかするといずれは経営破綻してしまい、契約した保険の内容が当初のものとは違う不利なものになってしまう可能性があります。

そのため、契約する保険会社の損益情報を知ることが大切です。

保険会社の収益源「三利源」とは

保険会社の損益情報を知るためには、保険会社の「三利源(さんりげん)」というものを知ることが必要です。

三利源とは、「死差益」「利差益」「費差益」のことであり、保険会社の主たる利益源のことです。

保険会社によっては、三利源の三つの利益の詳細を開示している会社や、三利源をまとめて「基礎利益」として開示している会社もあります。

それぞれの差益はどのような収益なのか詳細を見てみましょう。

「死差益」とは

公益社団法人 日本アクチュアリー会が、年齢別・男女別の平均余命や死亡率をまとめて作成した「標準生命表」というものを参考に、保険会社は「予定死亡率」というものを考えます。

予定死亡率とは、年間でどれだけの人数が死亡するのか予想した割合のことで、この予定死亡率から将来的に支払う保険金を予想します。

もともと保険会社が予想する予定死亡率は、事業の運営を安全に行うために高めに設定されており、予定死亡率で予想した保険金の額と、実際に支払った保険金の額は、よほどのことがなければプラスの収益となります。

この収益を「死差益」と言い、この死差益は保険会社の大きな収益となっています。

2018年には約11年振りに標準生命表が改定され、改定された標準生命表では死亡率が改善していたため、保険会社の多くが予定死亡率の設定を下げたようです。

それにより生命保険の保険料は値下げ傾向となり、人が長生きすることになった分、医療保険やがん保険の保険料は値上げの傾向になっているそうです。

「利差益」とは

保険会社は契約者から支払われた保険料の一部を色々な形で運用しています。

運用方法としては、比較的安全性の高い投資先である日本国債や社債などの公社債への投資の割合が高く、約50%以上が公社債に投資され、残りは株式投資や不動産投資などで運用されているようです。

そしてその運用をするにあたり、年間でどれだけの運用益を上げることが出来るかを予想しており、それを「予定利率」と言います。

この予定利率で予想した運用の利益と、実際に運用して出た利益の差がプラスになった場合の利益を「利差益」と呼び、もしもその差がマイナスになった場合は「利差損」と呼びます。

利差益を「順ザヤ」、利差損を「逆ザヤ」と呼ぶこともあります。

バブル景気の時期(1990年頃)は景気が上向いており、国債の利回りや株価、不動産価値なども軒並み上昇していたため、利差益が大きな収益を上げており、各保険会社も高めの予定利率の設定だったようです。

しかしバブルが弾けて景気が冷え込んでしまうと株価なども下がり、各保険会社の予定利率はどんどんと低い設定となりました。

予定利率は保険料の設定に影響を与えており、予定利率が高ければ保険料は安く、予定利率が低ければ保険料が高くなるため、同じ保障内容の保険だったとしてもバブル時期と現在では、保険料が2倍以上も差があるようです。

「費差益」とは

保険会社が事業を行うにあたり、必ず事業費(経費)が発生します。

一年間で発生する事業費を、年間の売上に対しての割合として予想したものを「予定事業費率」と言い、予定事業費率で予想した事業費と、実際に発生した事業費の差がプラスになった場合、その利益のことを「費差益」と言います。

保険会社がコストダウンすることで費差益に大きなを影響を与えるため、企業努力が利益につながると言えます。

現在は店舗を持たずにネットのみの保険会社もあり、人件費やもろもろの費用を抑えることで保険料を安くしている保険会社もあります。

よくテレビCMで見かける保険会社は広告費にお金をかけており、その分が保険料に上乗せされているのかもしれません。

まとめ


保険会社を選ぶには、各保険会社の損益情報を知ることは非常に大切です。

  • 保険会社とは一度契約すれば長いお付き合いになるため、保険会社の事業の安定性や将来性を契約する指標の一つにしてみましょう。
  • 保険会社の主たる利益源の「三利源」について調べてみると、その会社の損益情報が分かりやすいです。
  • 年間でどれだけの人数が死亡するのか予想した予定死亡率と、実際に死亡した人数の差によって生じる、保険会社が支払う保険金の額の差額が収益となり、これを死差益と言います。
  • どれだけ運用での収益が見込めるか予想した予定利率と、実際に生じた運用益の差がプラスになった場合の利益を「利差益」と呼び、運用の差がマイナスになった場合を「利差損」と呼びます。
  • バブル景気のように国債の利回りや株価、不動産価値が上がっているときは利差益が高い収益となり、予定利率が高い設定となるため、契約者の支払う保険料は安くなりますが、景気が冷え込むと逆に保険料は高くなります。
  • 一年間で発生する事業費(経費)を予想したものを「予定事業費率」と言い、予定事業費率で予想した事業費と、実際に発生した事業費の差がプラスになった場合、その利益のことを「費差益」と言います。
  • 人件費や広告費などかかる事業費は様々ですが、企業努力によるコストカットによって費差益は生み出されます。
  • この三利源が毎年安定して収益をあげている会社は事業の安定性や将来性が高いと判断出来るでしょう。
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