「エロイムエッサイム」という言葉をご存知でしょうか?
なんだかどこかで聞いた事がある、という方もいらっしゃると思います。それもそのはず、テレビアニメ「悪魔くん」のオープニングにも登場していた言葉です。
このことからなんとなく想像がつくと思いますが、「エロイムエッサイム」とは悪魔に関する言葉です。
今回はその由来や意味について徹底解説したいと思います!
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エロイムエッサイムの言葉の由来
ヨーロッパでは、「グリモワール」という名前の魔術書が出版され広まっていたことがあります。フランス語で書かれたそれには、悪魔をはじめとし、天使や妖精などを呼び出して願いを叶える方法などが書かれていました。
「エロイムエッサイム」とは、その中の1つの悪魔を呼び出す呪文です。
「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」という言葉を唱えながら、卵を産んだのない黒い雌鳥を2つに引き裂くことにより、悪魔を召喚できると言われています。
黒い雌鳥は悪魔への貢物ということなのでしょう。
エロイムエッサイムの言葉の意味
「エロイムエッサイム」はこれで一つの単語なのではなく、「エロイム/エッサイム」と別々の言葉です。グリモワールには「Eloim, Essaim, frugativi et appellavi」と書かれていることからそれが分かります。
まず「Elohim(エロイム)」とは、神のことを示しています。この言葉は複数形になっていますが、何人もの神という意味ではなく、父と子と聖霊が1つにまとまっているということを表す、三位一体ということです。キリスト教の考えです。
父とは一神教の神様であるということ、子とはイエス・キリストであるということです。聖霊は一言で説明するのはとても難しいので、その2つに並ぶような存在という認識を持ってもらえればと思います。
「Essaim(エッサイム)」については、はっきりとしたことが分かっていません。エロイムと同じくヘブライ語だと、「悪魔」という説が有力です。しかし他にも、「エルサレム」という言葉が転じて「エッサイム」になったという説もあります。
「エルサレム」とは、旧約聖書に登場する「ソロモン王」が作った神殿のことです。
私は「エロイムエッサイム」という言葉で、神殿にいるような神に対して呼びかけているのだと解釈しています。
エロイムエッサイムは日本のアニメでも使われている
「悪魔くん」のオープニングの歌詞で使われているのはいかにもという感じですが、私はもう1つ意外な例を挙げたいと思います。
「四月は君の嘘」という漫画をご存知でしょうか?テレビアニメ化や実写化もされ、話題になった作品です。
ヴァイオリニストである宮園かをりという少女が、コンクールなどで演奏をする前に「エロイムエッサイム エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」と唱えています。実写化でもこのシーンはしっかりと再現されていました。
本来は悪魔を呼び出すための呪文ですから、最初見たときは違和感を感じました。しかし心を落ち着かせるための「おまじない」だったのかな、と私は思います。「おまじない」も漢字にすると「御呪い」になりますからね。
また、宮園かをりは「人々の記憶に自分を残したい」という思いでヴァイオリンを演奏する少女でした。悪魔に魂を売ってでも、魅力的な演奏をして、自分のことを覚えていて貰いたいというような気持ちがあったのかもしれません。
作中でこの呪文について特に何か説明はされていないので、色々と考えることができて楽しいです!
「悪魔くん」も「四月は君の嘘」も、こうした言葉がより作品の内容を引き立てていると思います。
エロイムエッサイムのまとめ
1.「エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」という呪文は、「グリモワール」というフランス語で書かれたヨーロッパの魔術書の中に登場する。唱えながら黒い雌鶏を引き裂くと、悪魔を召喚することができる。
2.「エロイム」とは神のこと、「エッサイム」は諸説あるが、おそらくソロモン王の作った神殿のことを示しており、神に呼びかける言葉になっている。
3.「悪魔くん」の他にも「四月は君の嘘」という漫画に登場し、登場人物が演奏する前におまじないのようにこの呪文を唱えている。
呪文というのは、絶妙な厨二心をくすぐられ、興味が尽きない対象だと思います。
特に「グリモワール」は「エロイムエッサイム」以外にもとても興味深そうなことがたくさん書いてあるので、ハロウィン前に色々なことを知ることが出来れば、話題作りにもなるのではないでしょうか。