日本人のソウルフードの一つであるもんじゃ焼きとお好み焼き。
関東ではもんじゃ焼き、関西ではお好み焼きと言われていますが、二つとも今や全国で愛されて食べられている粉物料理です。
鉄板を囲みながらみんなでワイワイ楽しんで作ったり、色々な具材を入れて自分好みにカスタマイズして作って楽しんだり、もんじゃ焼きもお好み焼きもソースの香りが食欲を刺激して、ついつい食べ過ぎてしまいますよね。
そんなお好み焼きともんじゃ焼きですが、どちらが最初に作られたのでしょうか。
そのルーツや語源は?
そんな疑問について調べてみました。
もんじゃ焼き、お好み焼きの違いとは?
もんじゃ焼きとお好み焼き、二つの料理とも小麦粉を使用した料理ですが、生地の硬さの違いが大きな違いと言えるでしょう。
もんじゃ焼きはお好み焼きに比べて小麦粉を溶くための水の割合が多く、さらっとした生地を使用します。
もんじゃ焼きは先に具材を焼いて、焼いた具材で土手を作りそこに生地を流し込み、生地に火が通りとろっとなってから、最終的に鉄板の上ですべて混ぜ合わせた後に生地を広げて焼きます。
それに対しお好み焼きは、小麦粉と水の割合が大体同じぐらいの分量となるため、ドロっとした生地になります。
そしてその生地に具材を入れて、混ぜてから鉄板に流し込み焼き上げます。
出来上がりは、もんじゃ焼きはパリッしてクレープのように薄く焼きあげるのに対し、お好み焼きはフワっとホットケーキのように厚めに焼き上がります。
また、もんじゃ焼きは生地にウスターソースを入れ、生地自体にあらかじめ味をつけておきますが、お好み焼きは出来上がったものにソースなどで味をつけるという違いもあります。
もんじゃ焼き、お好み焼きどちらが先に生まれたの?
もんじゃ焼きとお好み焼き、同じ粉物料理ですが、どちらが最初に生まれたのでしょうか。
街を見回してみると、お好み焼き屋さんはチェーン店もあってたくさん目にしますが、もんじゃ焼き屋さんというのはあまり見かけない気がします。(東京の下町などのある地域に限っては別ですが)
そこから考えると、お好み焼きが先に生まれて全国に広がり、東京の下町でもんじゃ焼きに派生したと考えてもおかしくなさそうですが、意外なことに、先に生まれたのはもんじゃ焼きなんだそうです。
もんじゃ焼き、お好み焼きのルーツは?
もんじゃ焼きとお好み焼きはどういった経緯で誕生したのでしょうか?
過去の書物などを確認してみると、安土桃山時代お茶で有名な千利休(せんのりきゅう)が小麦粉を水で溶いたものを薄く焼き、そこに味噌などをはさんだクレープのようなものを作った「麩の焼き」と呼ばれるものがルーツだそうです。
最初は料理としてではなく、お茶と一緒に出される茶菓子が起源だったようですね。
その後、江戸時代末期から明治時代にかけて、小麦粉を出汁で溶いたものを焼いて食べる「文字焼き(もんじやき)」が生まれました。
この文字焼きは、鉄板の上で文字を書いてそれを覚えながら食べるということからその名前が付けられたようです。
そしてこの文字焼きに醤油や蜜をつけたものが子供たちの駄菓子として人気になり、生地にウスターソースで味を付けて、キャベツなどの具材と一緒に主食として食べるようになったことが、今のもんじゃ焼きのルーツとなっているそうです。
こうしてもんじゃ焼きが生まれましたが、もんじゃ焼きは鉄板がある場所でしか食べられないため、持ち帰ることが出来るようにと水分量を減らし、生地を硬くしたものが作られて屋台などで売られるようになりました。
それが「どんどん焼き」です。
どんどん焼きの名前の由来は、屋台にお客を集めるために「ドンドン」と太鼓を鳴らして集客したという説や、大変人気が出て「どんどん」と飛ぶように売れたためという説などがあるそうです。
このどんどん焼きが全国に広がり、関西地方ではもっとボリュームをもたせようと、生地にキャベツを入れソースをかけて食べるようになり、これが今のお好み焼きのルーツとなりました。
お好み焼きはその名の通り、好みの食材を入れて焼いて食べることからお好み焼きと名付けられたそうです。
ちなみに東北地方では、小麦粉を水で溶いてキャベツなどの具材を入れて焼いたものを、お好み焼きではなくどんどん焼きという名前で食べている地域もあるようです。
東北地方のどんどん焼きは、一般的なお好み焼きのように円盤状のものや、半月状のものもあれば、お箸に巻きつけたものもあり、味付けも醤油やソースなど、同じ名前でも様々な味付けや食べ方があるようです。
まとめ
・もんじゃ焼きは水分量の多い生地を使用して、先に具材を焼いてから生地を流し込み、生地に火が通ったら全てを鉄板の上で混ぜた後、薄く延ばして焼いて食べます。
・お好み焼きは水と小麦粉の割合が大体等しくドロっとした生地で、具材を一緒に混ぜた後に鉄板で焼いて食べます。
・もんじゃ焼きはあらかじめ生地にウスターソースが混ぜられていて下味がついているため、焼き上がり後はそのまま食べますが、お好み焼きは焼き上がった後にソースなどで味付けをします。
・もんじゃ焼きとお好み焼き、先に生まれたのはもんじゃ焼きです。
・もともとは小麦粉を水で溶いたものを焼いて、味噌などで味付けをする茶菓子として生まれましたが、出汁やウスターソースで味付けしたものに具材を入れる形になって、それがもんじゃ焼きになりました。
・持ち帰り可能なもんじゃ焼きを作ろうと水分量を減らし、生地を硬くしたものがどんどん焼きとなり、どんどん焼きが全国に広まって関西地方で今のお好み焼きに生まれ変わりました。
・東北地方ではいまだにどんどん焼きとして、色々な味付けや形状で親しまれています。