日本語の中には同じ読み方をしても感じが違うことで大きく意味が変わる言葉がとても多く存在します。なので、聞き言葉で自分が解釈していたことと、相手が実は別の意味で伝えていたなんてことがたまにあるかもしれません。だいたいは文脈から推測するかもしれませんが、「え?いまのどっちの意味?」なんてことは誰しも経験があるのではないでしょうか。
例えば「移動・異動」。前者は地図上の位置を変えること。後者じゃ人事的な配置を変えることに使います。他にも「異常・以上」や「回答・解答」など良い方は一緒だけどいいが違う熟語は多くあります。
今回はこの読み方は一緒なのに感じが違うことで意味が変わる熟語の中から「選任・専任」についてそれぞれの意味と使い方を解説いたします!
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「選任」の意味
ではまずは「選任」から説明しましょう。そもそも「選」の意味から考えていきましょう。
【選】セン・えらぶ :多くの中からよりとる。えらびだす。よりわける。
複数あるものの中から一つを抽出するときにこの「選」が使われます。例えば選挙、選抜なども複数あるものの中から代表を出すときに用いられる熟語です。「複数あるものの中から選ばれて、役割を任されること」が細かくいうと意味になります。
また似た言葉に「選定」があります。こちらはさらに狭義になり「選任された人の中からさらに人を選ぶこと」という意味があります。「選んだものの中から。さらに細かく定める
といったニュアンスになります。これも若干意味が異なりますので、覚えておきましょう。
それでは「選任」の使い方を見て見ましょう。
「選任」の使い方と例
・「今度の社内会議で理事を選任する」
・「クラスの投票で学級委員を選任する」
また「選定」もいっしょに紹介すると、
・「社内会議で選任した理事の中から代表を選定する」
だたし、選任・選定を併用しない場合は、「選定」を使うような場面でも「選任」を使うことがあります。2段階で人やものを選ぶ場合は使い方を分けるようにしましょう。
「専任」の意味
それではもう一つの言葉「専任」を紐解いて見て見ましょう。同じく「専
の漢字の意味から解説します。
【専】セン・もっぱら:他のものを交えない。一つのことに集中する。独り占めにする。
このかんじひとつでも意味が全く違うことがわかりますね。「専用」や「専門」などの使い方をするように、専用は独り占め、専門は一つのことに特化した状態を表します。なので、「専任」の意味は「ある一つの任務だけを担当すること」という意味になります。
「専任」の反対として用いられるのが「兼任」。一つのことに特化する「専任」に対し、2つ以上の物事を同時に担当することを「兼任」といいますよね。「兼」には二つ以上のものを一つに合わせる、一つの上にもう一つ持つことを指します。掛け持ちする「兼
に対し一つのことに集中する「専」だということを覚えておきましょう。
また「専従」という言葉も間違えやすい言葉としてあります。「専従」とは「ある仕事だけに従事すること」となります。専従は専らその業務に従事することを言い、兼任することは認められておらず、専任に関しては専任業務に支障をきたさなければ兼任しても差支えがないというような違いもあります。
これを踏まえて使い方例をご紹介します。
「専任」の使い方と例
・「専任弁護士を務める」
・「会社でA社の窓口担当を専任する」
専門の担当、のような使い方をすることを覚えておきましょう。
では似た意味で出てきた「専従」から例文を見て見ましょう。
・「農業に専従する」
この場合、農業に専ら従事することで別の副業をするなどということは認められていないことになります。
では最後に対義語に値する「兼任」について見てみましょう。
・「選手とコーチを兼任する。」
この場合、選手もコーチもどう自身もうで行うのでもっぱら一つのことを行う行為ではないため、兼任となります。
選任と専任の違いまとめ
・日本には同じ読み方でも漢字が違うことで意味が大きく変わる言葉が多い。
・「選任」は複数あるものの中から「選んで任せる」ことを指す。
・「選定」は選任したもののなかからさらに選ぶ場合に用いられる。
・「専任」はもっぱら一つのことに特化して役割を持つこと。
・「専従」は一つのことに従事することで兼任することは認められていない。
一つずつ漢字を紐解いていくと、本来の意味がわかりますね。話し言葉では伝わりにくいこともあるかもしれませんが、くれぐれもメールやメッセージにてこの漢字ミスを出さないように気をつけましょう。