硫酸銅は中学校や高校の理科や化学の実験で目にしたことがある人が多い物質なのではないでしょうか。

青い結晶または水溶液で非常に美しいですが、食品添加物として利用されるにしてはどくどくしい見た目をしていますね。

 

果たして食品添加物としてはどんな用途をされているのでしょうか?

硫酸銅とはどんな物質なのか、毒性や致死量にも触れていきます。

硫酸銅とは?毒性や致死量は?

 

硫酸銅は硫酸イオンと銅イオンの化合物(2種類以上の元素が化学結合で結びついた純物質)です。

無水和物(水を含まない化合物)は白色の粉末ですが、五水和物(水分子を含む物質)は青色の三斜晶系結晶、水溶液は青色を示します。

銅イオンに含まれる電子は、青色以外の光を吸収するため、残った青色だけが光に反射します。

そのため硫酸銅は青く見えるんですね。

 

無和水物は、五和水物を250度で加熱すると得られます。

5つの水分子を含んでいるため、水に溶けやすい性質があります。

無和水物はエタノールには溶けず、メタノールには僅かに溶けます。

 

重金属である銅が含まれているため、急性毒性があります。

危険有害性の分類では急性毒性物質に分類されており、国から「医薬用外劇物」にも指定されています。

医薬用外劇物は医薬品以外の物質であり、「毒物及び劇物取締法」で毒性が認められた化学物質のことです。

 

硫酸銅の毒性は強く、塩基性硫酸銅(硫酸銅水溶液に酢酸カリウムを加えて煮沸すると得られる結晶)の致死量は200mg/kgとなっています。

摂取することで、肝臓や腎臓の壊死、溶血(赤血球が崩壊してヘモグロビンが血球外に溶出する現象)が引き起こされるおそれがあります。

実際には0.02~0.05gほどで嘔吐につながります。

 

硫酸銅の水溶液には腐食性があるため、金属を溶かしたりサビさせたりしてしまいます。

また、皮膚や粘膜に接触すると腐食し、炎症やびらんが引き起こされ後遺症が発生するおそれがあるともいわれています。

しかし皮膚や粘膜から吸収されることがない物質なので、すぐに石鹸で洗浄すれば基本的には問題ありません。

口腔摂取した場合には腹痛、下痢、嘔吐といった症状が出ますが、すぐに水でゆすいで、牛乳や水を多量に飲むことで対処します。

 

20度程度ではほとんど気化しないため危険性は低いとされますが、無水和物は粉末のため粉塵で拡散するおそれがあるため有害性は高まります。

吸入した場合は気道が刺激されるので咳や息切れ、咽頭痛、頭痛といった症状が起こるおそれがあり、長期的な吸入をすると肺になんらかの異常が起こるおそれがあります。

食品添加物として硫酸銅の使い方

 

硫酸銅は強い毒性があるとお伝えしましたが、実は乳児用の粉ミルクに使用されています。

日本では食品添加物としての使用は母乳代替食品にしか認可されていません。

国の標準調整濃度に調乳した際、6mg/Lまでは強化剤として摂取が可能とされています。

 

乳幼児にとって銅は必要な成分とされていて、完全に人工乳へ依存している乳児にとっては微量の銅が必要となってきます。

銅には人体内で皮膚や血管の結合組織の生成、鉄の吸収促進、抗酸化酵素の中心的な役割といった働きをします。

 

人体の骨、骨格筋、血液内などには約80mgの銅が存在しており、微量必須ミネラルです。

乳腺で血液から母乳に変化します。

そのため母乳を飲ませていると乳児に必要な銅は摂取されます。

銅を極端に摂取しないことで銅欠乏性の貧血、白血球減少、骨の異常などが引き起こされるおそれがあります。

 

粉ミルクのように直接口にするものではないですが、ボルドー液という農薬にも硫酸銅が使用されています。

ボルドー液は消石灰と硫酸銅を混ぜた農薬で、強い殺菌効果があるため防虫目的で果樹や野菜、豆類の栽培に利用されています。

農薬として使用している量では、収穫物を摂取しても人体に影響はほとんどないとされています。

硫酸銅と健康への影響まとめ

 

 

・硫酸銅は硫酸イオンと銅イオンの化合物で無水和物は白色の粉末ですが、五水和物は青色の三斜晶系結晶、水溶液は青色を示す。

・危険有害性の分類では急性毒性物質に分類されており、国から「医薬用外劇物」にも指定されている。

・日本では食品添加物としての使用は母乳代替食品にしか認可されていない。

 

散々有害性、致死量などを書いてきましたがそのような物質が粉ミルクなどに使われているのはおそろしい現実です。

硫酸銅は天然の銅ではなく、化学物質です。

輸入したもの以外で、大人たちが硫酸銅を日本で口にすることはほとんどないかと思います。

それなのに乳児には利用されているのは日本の不思議ですね。

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