あなたは、自分のおしっこの状態をよく観察したことはありますか?
ある時は黄色味が強かったり、ある時は数時間前に食べた物のにおいがしたりと、毎回微妙に変化していると思いませんか?

なぜなら、おしっこは血液がろ過された成分によって構成されているため、体の調子や食べた物に強く影響を受けるのです。
そのため、自分の体の状態を教えてくれる指標になると言われます。重篤な病気を早期に発見するために、おしっこを試験紙でチェックすることを勧めている医者もいるほどです。

また、信じがたいかもしれませんが、そのおしっこを飲む風習が現代でも存在します。それが尿療法であり、自分のおしっこを飲んで病気を治したり健康を増進したりしようとする民間療法のひとつとして、古くから言い伝えられているようです。

しかし、おしっこは体にとって不要なものであるから捨てられているはず。実際に「おしっこを飲む」と人体に影響はないのでしょうか?
また、おしっこの味はどのようなものなのでしょうか?気になったので調べてみました!

おしっこの成分は?


口から摂取した水分や栄養は、小腸や大腸で吸収されて血液中へと送られます。その血液に過剰な水分や老廃物が含まれていると、人間の体では腎臓でろ過して取り除かれるようにできています。ちなみに、腎臓でろ過される血液の量は1日150リットルと言われており、これは大型のドラム缶1本分に相当します。

しかし、ろ過されたものがそのままおしっこになるわけではなく、99%は腎臓から膀胱の間にある尿細管で再吸収されて、残りの1%がおしっことなります。もう少しわかりやすく言うと、粒の大きい血球とタンパク質以外はいったんろ過して、現状の体の状態に合わせて必要なものを再び取り入れているのです。

これらから、おしっこの成分は血液の余剰成分で構成されていることが想像できますね。このうち、90%以上は水分です。その他に、たんぱく質の残りカスである尿素やアンモニアが含まれています。また、うすく黄色みを帯びるのは、使い古された赤血球の老廃物である「ビリルビン」という物質によるものです。もし、正常な体の状態であったならば、90%以上が水分ですからほとんど味はしないのではないでしょうか?

同じおしっこの味は二度と味わえない


体の余分な水分や老廃物は、腎臓によっていったんろ過されたあとに体の状態に合わせて必要なものだけを再吸収し、残りはおしっことして体外に出されることを理解していただけたと思います。おしっこのできる過程から考えて、おしっこの味は再吸収されたものによって変わる、つまり体が何を欲しているかによって変わるということになります。

ミートスパゲティを食べた後に出るおしっこのにおいがミートソースのにおいだったり、朝一番に出るおしっこが普段より黄色かったりした、ということはありませんでしたか?おそらく、再吸収の段階で「におい成分が体にとって不要だった」「夜間は水分補給ができないので、水分を多く吸収した」ということで説明ができます。このようにおしっこは、直前の飲食物や体の水分の割合によって大きく左右されるので、同じ味は二度と味わうことができないと言われています。

ただし、おしっこの味を決める成分となるものもあります。それが前述した「ビリルビン」。これは、赤血球の不要物として尿中に捨てられ、ほとんどのおしっこに含まれます。さらにアルカリ性である胆汁酸を含んでいるので、苦味の原因となります。また、体内の塩分が過剰になると塩化ナトリウム(NaCl)も排泄されるため、塩味が混ざることもあります。

飲んだ場合の人体への影響は?


一般的にはあまりきれいなものではないと認識されていますが、おしっこを飲んで体調を整える尿療法もあるぐらいですから、それほど人体への影響はないものと考えられます。

実際、血液をろ過して作られるので、腎臓が正常であれば体外に出されるまでは無菌状態です。ただ、排泄されてから時間が経過すると、おしっこの成分の一つである尿素が細菌によって分解されてアンモニアが発生します。これがトイレでよく臭う不快なにおいの原因となっているのです。

基本的に、健康な生活を送っていて腎臓に問題のない人のおしっこは無害と言っていいでしょう。ただし、腎臓から膀胱にかけてなんらかの病気(腎盂腎炎、尿道炎、膀胱炎など)が存在する場合は、細菌が繁殖している状態です。特に排泄直後からアンモニア臭がきつい場合は、これらの病気が疑われます。また、食生活が乱れていたり、加工品ばかり口にしていたりする人もにおいがきつくなると言われています。こういったおしっこは、おびただしい数の細菌が含まれていると考えられるので、飲んでしまうと体に悪影響であることは間違いありません。

まとめ

  • おしっこの成分は血液の余剰成分であり、90%以上は水分で構成されている
  • おしっこの味は、赤血球の不要物である「ビリルビン」により苦みを感じる
  • 塩分を多くとりすぎると、おしっこはしょっぱいと感じる
  • 基本的に健康な生活をしている人のおしっこは、飲んでも無害
  • 腎臓から膀胱にかけて病気がある場合は、臭いがきつくなり人体に影響する可能性あり
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