水道が民営化されることによって水道料金がおおきく変わる可能性がでてきます。
水道料金が高くなる地域、反対に水道料金が安くなる地域はどこなのか。水を安く使う方法はあるのでしょうか。

水道民営化で料金が高くなる地域、安くなる地域はどこ?


現在の水道運営事業は水道施設の老朽化や耐震問題、水道管の老朽化などさまざまな問題をかかえています。その状況からみても水道代が安くなることはないと言えるでしょう。

料金がどの位まで値上げされるかは、現在の各自治体がかかえている水道施設等における問題の深刻具合によって決まってきます。問題が大きいほど水道料金を値上げせざるおえない状況がうまれてくるのは言うまでもありません。
例えば、同じ問題を抱えていてもそれに伴う費用を算出した時に、人口多い地域においては一人当たりの負担額が人口の少ない地域よりも少なくて済みます。

では、水道運営事業が民営化されると水道料金はどうなるのでしょうか?料金が高くなる地域、安くなる地域を予想しながら、みていきましょう。

水道運営事業は市区町村などの各自治体が行っています。それにより水道料金は統一されておらず、地域によって基本料金や使用料金が違います。

民営化前の水道料金が高い自治体と、安い自治体を紹介します。

*一般家庭用20㎥あたりの料金

水道料金の高い自治体

1.夕張市(北海道) 6,841円
2.深浦町(青森県) 6,588円
3.由仁町(北海道) 6,379円
4.羅臼町(北海道) 6,360円
5.江差町(北海道) 6,264円

水道料金の安い自治体

2.

1.赤穂市(兵庫県) 853円
富士河口湖町(山梨県) 985円
3.長泉町(静岡県) 1,120円
4.小山町(静岡県) 1,130円
5.白浜町(和歌山県) 1,155円

水道料金の高い地域は北海道や青森県です。水道料金の安い地域は兵庫県や山梨県、静岡県となっています。これは民営化後も変わらないと予想できます。

なぜかというと民営化後の値上げがあったとしても500円までではないかと個人的に予想しているからです。海外の失敗から学べるように急激な水道料金の値上げは未納金を増加させるだけです。また北海道や青森ではこれ以上の値上げは難しいのではないでしょうか?

2,000円から4,000円の料金である地域でも民営化数年後には6,000円まで値上げされているかもしれません。将来的にみても新たな技術を投入して開発を進めていかなければ、水道料金の値上げは続く一方です。

ここで気になるのは一番高い料金と安い料金の差額は約6千円とかなりの差があることです。どうしてこのような大きな差額がうまれてくるのでしょうか。

水道料金はどのようにして決めているのか?


水道料金は各自治体によって違います。ではどのようにして水道料金が決まっているのでしょうか?

各自治体の水道運営事業に必要な費用を元に水道料金が決められています。
必要な費用というのは、その地域の環境の違いによって変わってきます。費用が多くかかればその分水道料金も高くなります。反対に費用をかけずに済む環境であれば水道料金の設定も安くなります。

環境の違いについて

  • 水量…水量確保のためにダムが必要な場合、ダムを建設します。ダムの建設費や維持費のために水道料金も高くなります。
  • 水質…その地域の水質が悪ければ浄水のために薬剤を使用したり、機械のメンテナンス等に費用がかかります。
  • 水道利用人口…水道利用者の人口が少ないと収益が減るため、一人あたりにかかるコストが高くなります。
  • 水道供給設備…水道を供給するための水道管などの設備が多ければ多いほどその管理やメンテナンスに費用がかかります。また起伏の激しい地形の場合には水道管は長くなってしまいその分管理費がかかります。

以上のことからもわかるように、水道料金が安い地域でも問題を多くかかえていると民営化後は水道料金は高くなります。

水を安く使う方法


水を安く使うには節水することです。

私達が日常の生活において水をどれだけ使っているか知っていますか?トイレで水を流したり、洗濯や食器を洗ったり、入浴したりなどなど。
東京水道局によると、一人が1日に使う水の量は219リットルだそうです。自動販売機やコンビニでよく見かける500ミリリットルのペットボトルで表すと438本にもなります。驚きですね。

しかし普段から少し気をつけるだけで節水をすることが可能です。

例えば水を出しっぱなしにしない。歯磨きをする時、洗車する時、食器を洗う時、お風呂に入った時にシャワーを出しっ放していませんか?水はこまめに止めるように心がけましょう。

お風呂の残り湯を洗濯や掃除の際に使用するのも節水につながります。お米のとぎ汁もそのまま捨ててしまわず、洗顔や床拭き、食器の油落としにと使用用途がいろいろあります。

毎日の節水の積み重ねでひと月の水の使用量にも変化がでてきます。ぜひ今日からでもできることから実行してみてください。

最後に「水道法改正案」について説明します。

「水道法改正案」とは


「水道法改正案」が2018年12月6日の衆院本会議で可決され成立しました。
これによって「水道民営化」という報道がされています。実際には完全な民営化ではありません。

これはどういうものかというと、現在において水道事業というのは各自治体が運営しています。これを自治体から民間企業へ運営の移行を促進する「コンセッション方式」の導入を軸とした改正案が「水道法改正案」なのです。

コンセッション方式とは?
コンセッションとは、ある特定の地理的範囲や事業範囲において、事業者が免許や契約によって独占的な営業権を与えられたうえで行われる事業の方式を指す。

(Wikipediaより)

わかりやすく言いかえると、今回の「水道法改正案」によって民間企業に水道設備運営権を与えます。そうすることによって民間企業による水道設備運営等の事業を可能にするということです。これによって民間企業は地方公共団体が保有している水道インフラを使用して水道事業を行うことができます。

これはインフラすなわち所有権をまるごと民間企業に売却する「民営化」という形ではありません。

現在において水道使用量の検針や水道料金の徴収を民間企業に委託をしている自治体がほとんどです。そしてコンセッションを取り入れるかどうかの決定は各自治体に委ねられています。

自治体によってはコンセッションを行わないと意思表明しているところもあれば、宮城県など積極的に進めている自治体もあるようです。

  • コンセッションのメリット…コンセッションによって民間のアイディアや技術を生かす。センサーやロボット技術によるメンテナンスなどの可能性、修繕を計画的に進めることができる。
  • コンセッションのデメリット…「水道料金の大幅な値上げ」「水の安全性への不安」など利益が見込まれない地域では民間企業も水道運営事業を継続させることは困難。

まとめ

  • 水道代民営化によって水道料金の値上げは確実である。
  • 民営化後も水道料金の格差はほぼ同じで、高い地域は高く、安い地域は条件が良ければその料金を継続できる。
  • 水道設備等の老朽化による改修作業は多くの自治体で必要。
  • 節水を心がけることで水の料金を安くできる。

水道運営事業が民営化すると水道料金の値上げは避けられないでしょう。ウォーターサーバーやミネラルウォーターを購入し水道水と使いわけるのも良いですね。無料で天然水を汲めるスーパーなどもあります。水の節水を心がけ少しでも水道代を安くおさえられるようにしましょう。

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