みなさんは「ギリギリ」という言葉をどのように使っていますか?「ギリギリ間に合った」「お小遣いがもうギリギリだ」などに使いますよね。そもそも「ギリギリ」ってどういう意味なのでしょうか。あらためて調べてみると、「限界の状態や余裕がない状態、限度枠に近い状態。超えてしまうと許容範囲から外れてしまう状態のこと。」とあります。
つまり、「ギリギリ間に合った」は「余裕がない状態だったが間に合った」、「お小遣いがギリギリ」は「お小遣いがもう限界の状態だ」と考えることができます。これらの例を見ると「ギリギリ」という言葉の後には、「肯定的な言葉」や「なんとか努力して限度内に収まっている」というニュアンスが含まれています。
ところが、最近では「ギリギリアウト」という表現もあるとのこと。先ほどの「ギリギリ+肯定する表現」に当てはまっていませんが、「ギリギリアウト」というタイトルのコミックも公にでているらしく、世間一般でも使われているようになっているようです。
「ギリギリ」+「否定的な言葉」の組み合わせは、いったいどのようなときに使われるのか、実際「アウト」なのか「セーフ」なのかを検証していきます!
「ギリギリセーフ」とはどんな状況?
「アウト」「セーフ」と聞くと、思い出すのはやはり「野球」なのではないでしょうか。特に高校野球が好きな私にとっては、一塁ベースに全力でヘッドスライディングをする選手の姿を見ていると「青春っていいなぁ~」と勝手に思ってしまいます(笑)。
そんな中、ベースに駆け込む選手と野手から送られてくるボールのどちらが早いか、きわどいときが多々あります。そういった時に「このタイミングはギリギリになりそう」「ギリギリセーフです」という言葉を野球の実況で耳にします。そのときは「アウト」か「セーフ」か、どちらに転んでもおかしくない瀬戸際の状態。それでもなんとかセーフになったときに、「ギリギリセーフ」と表現されるのでしょう。
一方でアウトになった場合、守備側の視点から「ギリギリ間に合ってアウトにしました」という言い方を聞いたことはありますが、「ギリギリアウトです」という表現は野球中継ではあまり聞きません。そのため、いわゆる「全然OK」のように間違って使われた言葉が一般化したものと私は考えています。
では、「ギリギリアウト」とは一体どんな状況のことを指すのでしょうか。
「ギリギリ」は許容範囲の限界、「アウト」で限界を突破
「全然」はもともと後ろに否定的な表現を伴って「全然~ない」の形で使われ、「全くもって話にならない」「どうしようもない」といった意味を強く出すための言葉です。ところが、最近使われる「全然OK」は「全然~ない」の形にはまっていませんが、「全く問題ない」という意味で定着しています。
それと同じように「ギリギリ」は「ギリギリ~(肯定表現)」の形で使われて、「もう少しで限界だけど何とかなった」「間一髪大丈夫だった」という意味だったはずです。とすると、「ギリギリアウト」は「許容範囲の限界まで来ていたが少しはみ出てしまった」「締め切りの時間まで努力していたが、あと少し時間が足りなかった」と考えるのが自然です。
もう少し具体的に言うと、「レポートを午後5時に提出するように先生から言われていたのに、午後5時1分に提出した」「1か月後に体重を60kgまで落とすダイエットをしていたが、61㎏までしか落ちなかった」などが「ギリギリアウト」という表現に当てはまります。つまり、「アウト」か「セーフ」かどちらかというと、「アウト」になります。
ただし、「ギリギリ」には「許容範囲の限界」というシチュエーションが必要であるため、時間が無制限であったり、容量に具体的な数値設定が無かったりすると、この表現は使えないと思われます。
つまり、「ギリギリ」には「物事を達成できるかできないかの緊張感やドキドキ感」が含まれているため、そのようなことを想定させる要素が必要であることを忘れないようにしましょう。
ギリギリアウトのまとめ
・「ギリギリ」は「限界の状態や許容範囲から外れる手前の状態」
・普段は「ギリギリ+肯定表現」で用いられる
・「ギリギリアウト」は「全然OK」と同じように誤用が一般化
・「ギリギリアウト」は「限界を少しはみ出てしまった」状態のため「アウト」
・「ギリギリ」は「緊張感やドキドキ感」が含まれるため、それを想定させる要素が必要
「ギリギリアウト」は、「目標を達成するための努力をした」という証明があって、「セーフとはタッチの差であった」ことをしっかりと認識して使いましょう!