もぎたて○○、もぎたて生ジュースなど、果実を使った商品によくみられる「もぎたて」という言葉。
スーパーに行くと必ず目にするくらい、たくさんの商品がありますよね。
でも「もぎたて」というこの言葉、実は辞書に載っていないのだとか。
もしかして私たち、間違った使い方をしているのかも?
本来の意味は、みんなが使っている意味とは違うということもある?
今回はこの「もぎたて」という言葉の真相に迫ってみたいと思います。
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「もぎたて」という言葉は辞書に載っていない?
「もぎたて」という言葉の意味が完璧に理解できなくて、辞書を引く人もいるようです。
ですが、「辞書に載っていなかった」という人がいました。
こんなに普通に使われている「もぎたて」、辞書に載っていないなんてことがあるのでしょうか。
そこで実際に、ウェブ上の辞書で調べてみることにしました。
すると…
意味や用例が載っている辞書もありましがた、載っていない辞書も確かにあります。
「ある地方のテレビ局の、情報番組の名前」という検索結果しかない辞書も。
「もぎたて」がないのなら、ほかほかご飯を意味する「炊きたて」もないのかも。
そう思い検索してみたら、「炊きたて」はちゃんと載っていました。
なぜ「もぎたて」は載ってないのか、謎は深まるばかりです。
「もぐ」の意味は?方言なの?
「もぎたて」という言葉は、「もぎ」という単語と「たて」という単語に分かれます。
「もぎ」は「もぐ」の連用形なので、「もぐ」+「たて」ですね。
それぞれの言葉の意味が分かれば、もぎたてという言葉の意味も分かるというもの。
では、「もぐ」の意味を見てみましょう。
「もぐ」は漢字では「捥ぐ」と書きます。
ひねって本体から離すことを意味する語です。
用例としては「柿の実をもぐ」。
果実以外に何かをもぐなら、ちょっと物騒な雰囲気がします…
方言だと思う人もいるようですが、「もぎたて」という言葉を使った商品はたくさんあるので、きっと標準語でしょう。
ただ私は関東地方の出身ですが、「トマトもいできたよ」とか「ちょっとみかんもいでくる」とはあまり言いません。
もし言うなら、「トマト採ってきた」とか「みかん採ってくる」とかでしょう。
使い方によっては、方言と言えるような気もします。
なにはともあれ、「もぎたて」の「もぎ」の意味は分かりましたね。
では次に、「たて」の意味を見てみましょう。
「たて」という言葉の意味は?
「たて」という語は、漢字で書くと「立て」です。
日常でもよく使われますね。
炊きたてのご飯、出来たてほやほや、洗いたてのシーツ。
用例からも分かるように、「たて」こと「立て」は、動作が終わったばかりであることを指す語です。
「炊いたばかり」「出来たばかり」「洗ったばかり」とも言い換えられますが、「たて」を使ったほうがより美味しそう、新鮮そうな感じがしませんか?
良いイメージをプラスしてくれる語だと言えますね。
これで、「たて」についてもバッチリ理解できました。
「もぎたて」はプラス要素の言葉
「もぎたて」の意味、もう分かりますよね。
そう「もぎたて」とは、収穫したばかりの新鮮な様子を現す言葉。
もぎたてトマト、もぎたての桃。みずみずしくてとても美味しそうです。
「もぎたて○○」や「もぎたて果汁の○○」という商品は、果実の美味しさやフルーティーさをアピールしたいのでしょう。
ついついその商品に、手が伸びてしまうのも無理はないですね。
"もぐ"は複数個の場合は使わない?複数個の場合は狩りを使う
「もぐ」という言葉が採ることを意味するのなら、「狩り」と同じでしょうか?
でも「ぶどう狩り」や「みかん狩り」とは言いますが、「ぶどうもぎ」や「みかんもぎ」とは言いませんよね。
「狩り」という言葉は、動物や植物をとることを意味します。
「ぶどう狩り」や「みかん狩り」は、そのままの意味ですね。
ですが「もぐ」と言うと、1房のぶどうをもいだりみかんを1個もいだり、ひとつのものをもぎり取るイメージ。
農園に行って1個だけ採るなら「もぐ」でもいいかもしれませんが、しっくりしませんね。
やっぱり何個も採る「狩り」のほうが、ぴったりだと思いませんか?
まとめ
・「もぎたて」は辞書に載っていないことも
・「もぎたて」の「もぐ」は、本体から取ること。
・「たて」はしたばかりの動作を表す語
・「もぎたて」は美味しそうなイメージをプラスする言葉
・「味覚狩り」とは言うが、「味覚もぎ」とは言わない。
「もぎたて○○」という商品を見ると、とても美味しそうな感じがします。
それもやっぱり、言葉の力。
新鮮でみずみずしいイメージを与えてくれる「もぎたて」という言葉、廃ることはなさそうですね。