「もぬけの殻」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?耳にしたことはあっても、あまり頻繁に日常で使うものではありませんよね。

私はなんとなく不気味というか、虚しいイメージがこの言葉にあります。誰もその場にいなくなってしまった状態のときに使いませんか?そのため、「もぬけの殻」と聞くと、ガラーンとした部屋の情景が頭に浮かぶのです。

そんなある日ふと、私は気になりました。

「もぬけの殻」の「もぬけ」とは何だ?と。

「セミの抜け殻」みたいな感じで、もぬけとは何かの生物の殻なのか?

でもそんな生物聞いたことありません。

言葉の由来って、思いもよらないことが関係していたりするんですよね。

こんなに面白そうな言葉、きっとそうに違いない!と思い、さっそくこの「もぬけの殻」という言葉について調べてみました。

「もぬけの殻」ってどういう意味?

もぬけについて知る前に、まずはこの言葉の意味についておさらいです。

日本語表現辞典で引くと、以下の通りです。

もぬけのから

読み方:もぬけのから

別表記:蛻の殻

中身や箱の中などが空っぽの状態であることを意味する語。

また、人がその場からいなくなった(家や寝床などに使われますね)状態、つまり無人のことことも指し示します。

小説など読んでいると、その「無人の状態」で使用されることが非常に多いですね。「私がそこに到着した時、彼はすでにおらず、家はもぬけの殻だった。」みたいな感じでしょうか。

また、別表記のところに「蛻の殻」とあります。音に似合わず随分といかつい漢字ですね…。こんな漢字、初めて見ました。

ということは、やはり「もぬけ」という言葉自体になんらかの意味があるということです。

しかも虫偏。

やはり「もぬけ」とは、何かの生物なのでしょうか…?

では「蛻」はどういう意味?

「蛻」とは、へび・セミ等が脱皮すること・抜け殻、のことだそうです。

蛻は生物ではなく、その漢字自体に「脱皮」という意味も含んでいました!

一文字でここまで多くの意味を含むなんて、情報量が凄まじいですね。

また、「蛻」は名詞ですが、古文において「もぬく」という自動詞も存在します。漢字は中国からの由来のものなので、昔から使われていてもおかしくはないのですが、改めて今の言葉がそんな昔からの歴史の積み重ねでできているということを考えると、不思議な気持ちです。

「もぬく」はカ行下二段活用です。それが口語形として、「もぬける」になっています。こちらはカ行下一段活用です。

いよいよ文法らしい話になってきましたね。久しぶりに何段活用、という言葉を見ました。

いつからもぬけの殻って言葉は使われているの?

古文で「もぬく」という言葉が使われていたなら、相当昔からなはずですが、はっきりした年代はわかっていません。

しかし、源氏物語の若菜の巻に、こんな文章があります。

「もぬけたる虫の殻などのやうに、まだいとただよはしげにおはす。」

触ったことがある方はわかると思うのですが、脱皮した虫の皮ってすごく脆いですよね。皮なので当たり前なのですが、すぐパラっと崩れてしまいます。この文章は、そんな虫の抜け殻のように頼りない、という意味です。

源氏物語は、平安時代中期に成立したものです。少なくともその時代には「もぬく」という言葉が使われていたんですね!

日本語って、こんなふうに例えが興味深い言語だなと感じます。これ、英語に翻訳するときはどうなるのかすごく興味深いですよね。

外国人は日本語を学ぶのに苦労すると言いますが、こういった特殊な言い回しもその理由の1つなのかなと思います。

もちろん特殊な言い回しは日本語に限ったことではなく、どの言語にもあります。洋画を字幕で見るのと吹き替えで見るのとでは、気が付きが違ったりしますよね。

まとめ


  1. 「もぬけの殻」とは、その場から既に人が立ち去り無人の状態であること・中身や箱が空っぽであること。
  2. 「もぬけ」の漢字は「蛻」であり、蛇やセミなどが脱皮すること。また、「もぬく」「もぬける」という動詞も存在する。
  3. 「もぬける」という言葉は、少なくとも平安時代には使われていた。

予想通り、とても面白い結果でした。

大げさな話になってしまいますが、自分の国の言葉を掘り下げて理解することって大切だと思います。日本語は古文から現在までの変化が激しいですから、勉強するのは大変ですが、こういった風に学んでいくことは、きちんと「言葉を自分のものにしている」という感覚がありませんか?

いつもは疑問に思ってもつい流してしまうんですが、今後はこうやって調べてみることも大事にしてみたいと思います!

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