ピエロといえば、独特なメイクが特徴的です。

あのミステリアスな雰囲気がなんとなく怖くて苦手…という方もいると思います。『IT』というピエロの殺人鬼が出てくる映画が流行ったことにより、そういった人が増えた印象です。

ピエロは本来ならば楽しませる存在なので、怖がる必要はないと分かってはいるのですが、私も幼いころからなんとなく苦手です。

さて、そんなコメディアンであるピエロに、涙がメイクされている理由はご存知でしょう

?実はこれには深い意味があったのです。

いくつか説があるようなので、順番にお伝えしていこうと思います。

ピエロが泣いている理由1:如何なる時でも道化師を演じているから

人間には喜怒哀楽だけでなく、その人それぞれに数えきれないくらいの感情があります。それを押し殺して常に同じ表情をしている、というのは大変なストレスになります。

笑いを取るときに、「あいつ本当に頭悪いよな」というように、人のことを馬鹿にしてその場を盛り上げようとする人がいますよね。ピエロはそういったことは絶対にしません。

道化師は常に自分であり、馬鹿にする対象も常に自分です。

そのため、人から傷つけられてもそれを表に出すことはありません。

だけど馬鹿だからといって何も考えてないかというとそうではなく、本当は傷つくこともあるのだということをあの涙で表現しているという説があります。

なんだかちょっと乙女ですし、この美化している感じが如何にも日本人的発想な気がします。そのため私はあまりこの説は信じていません。

ちなみに、頭が悪かったら人から笑いを取ることもなかなかできないので、それをやってみせるピエロはもちろん頭が悪いはずはありません。あくまで「演じている」のです。

ピエロが泣いている理由2:目の見えない女の子との恋愛

こんな昔話があると言われています。

とある街角でパントマイムを披露しているピエロがいました。このピエロの少年は周りを喜ばせるのがとても上手で、それは目が見えない花売りの少女にとっても同じでした。

見ることはできなくても、ピエロが人を楽しませることのできる優しい人だということがきちんと伝わってきていたからです。

花売りの少女はとても美しく、次第に2人は惹かれあって恋に落ちました。

ピエロの部屋で2人暮らしを始めるなどして、順調に仲は深まっていきました。1人暮らしの頃は殺風景だった部屋も、明るい雰囲気になりました。

あるとき少女は、「あなたの顔が見たい。目が見えるようになりたい。」と訴え、ピエロは自分がそれを治すと約束しました。その日からピエロはがむしゃらに働くようになります。

ようやくお金も貯まり、無事に手術も成功して、少女の目は見えるようになりました。鏡で初めて見る顔はとても美しいものでした。

仕事が終わり、ボロボロの作業着で迎えに来てくれたピエロに、少女は「あなたのおかげよ。」といって涙を流しながら感謝をしました。

そうしてピエロの部屋に戻った2人。ところが、少女の予想以上にその部屋は狭く、ボロボロで生活感があるものでした。その瞳に浮かんだ失望の色をピエロは見逃しませんでした。

翌日からまたピエロは街角でパントマイムを行うようになりましたが、その瞳には涙が浮かんでいました。それでもいつもと変わらず、人々を笑わせて続けました。

少女の幸せのためを思っての行動が、結果的に2人の幸せにヒビを入れてしまったという、何ともやりきれないこのお話が関係しているのかもしれません。

ピエロが泣いている理由3:役の確立の中で

ピエロの元は、イタリアでの即興喜劇の際のペドロリーノという役であり、これがフランスなどに広まって「ピエロ」と呼ばれるようになったとこのことです。ペドロリーノは滑稽な召使いの役でした。

そこから、時代や国とともに徐々にペエロ像が変化していきます。

17世紀後半に、愚直で涙もろいというピエロ像ができました。これが涙のメイクに繋がったと考えられます。

のちにパントマイムをするようになったりし、現在のピエロにどんどん近づいていったようです。

個人的にはこれがもっとも信憑性が高いかなと思います。役がだんだん変化していくというのは自然ですし、何より歴史の裏付けがあるからです。

ピエロが泣いているまとめ


  1. ピエロは常に道化師であり、笑いの対象を自分にしているので、傷ついても表に出すことはないから代わりにメイクで涙を描いている。
  2. 目の見えない少女との恋愛話が関係している。
  3. 時代や国とともにだんだんとピエロの像が変化していき、途中で愚直で涙もろいというのが加わった。

はっきりした確かなことは分からないため、多くの説がありますが、この3つが代表的なものです。

やはり1番最後の説が最も信憑性が高いように私には思えます。

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