最近巷でよく聞く、「白砂糖は体に悪い」という説。
白砂糖の取りすぎを危険視した「白砂糖断ち」を勧めるライフスタイル雑誌や健康本も数多く出版されています。
そこで語られるのは、
精製されて作られた白い砂糖は漂白されているから害がある、
疲れやすくなる、
体を酸性にする
体を冷やす、
…などなど。
そんなマイナスなイメージが多い白砂糖。
一方で「黒砂糖」は、白砂糖と比べて「健康に良い」と評価されることも。
私はよく料理に黒砂糖を使いますが、確かに黒砂糖は素朴な風味で、ミネラルなどを含んで体に良いと言われると、そんな気もしてきます。
しかし実際、白砂糖と黒砂糖で、一体どんな違いがあるのでしょう?
砂糖の作り方や栄養素を詳しく調べて比べてみると、意外なことがわかるんです。
白砂糖が本当に健康に悪いのか、黒砂糖が健康に良いのか…本当のところは…?
砂糖の「本当の姿」を知って、健康的な食生活をもう一度考えて見ませんか?
Table of Contents
そもそも砂糖の原料・作り方って?
白砂糖、黒砂糖以外にも、三温糖やテン菜糖、和三盆など…砂糖っていろんな種類がありますよね。
まず、砂糖の原材料ですが、主なものはサトウキビやテン菜(別名:砂糖大根・ビート)です。
サトウキビはイネ科の植物で、竹のような茎に糖分を含んでいます。
皮をむいて茎の髄の部分から汁を絞り、砂糖を製造します。
生産量はブラジルが世界一で、日本では沖縄や奄美大島など温暖な地域で主に栽培されています。
テン菜はヒユ科の植物で、大根のような白く太い根に糖分を蓄えます。
その根を細切りにして温水につけ、糖分が溶け出した糖液を煮詰めての薄くさせることで砂糖を作ります。
テン菜は北海道などの冷涼な地域で栽培されています。
砂糖は製造法によって、含蜜糖と分蜜糖という2種類があります。
含蜜糖とは、絞り出して煮詰めた糖蜜を、分離させずにそのまま結晶化させて作った砂糖です。
主に黒砂糖、和三盆、赤砂糖、白下糖などがあります。
これらは糖分以外のミネラルなどの成分も含み、煮詰めたときに茶色い色がついていて、独特の風味がある特徴です。
テン菜糖は含蜜糖にするのが難しいため分蜜糖にするのが一般的ですが、少し茶色く色のついたテン菜の含蜜糖も販売されています。
分蜜糖は、糖蜜から不純物を取り除き、結晶化させた砂糖です。
純度が高く、最初に触れた「精製された」砂糖とはこの砂糖を指していると言えるでしょう。
主にザラメ糖(グラニュー糖)、上白糖、三温糖、角砂糖や粉砂糖はこの分蜜糖です。
白砂糖が「精製された砂糖」なのは確かだけど…
上で説明した通り、「白砂糖」つまりグラニュー糖や上白糖は不純物を取り除いたものです。
高純度で結晶化させた白砂糖は、砂糖の主成分「ショ糖」の結晶そのものと言えます。
白砂糖の主成分とカロリー(100グラムあたり)は以下の通りです
グラニュー糖:ショ糖99.9%、転化糖0.01%、水分%0.01%、灰分0.01%、387キロカロリー
上白糖:ショ糖97.8%、転化糖1.3%、水分%0.8%、灰分0.02%、384キロカロリー
三温糖:ショ糖95.4%、転化糖2.1%、水分1.2%、灰分0.25%、382キロカロリー
三温糖は色がついているので黒砂糖の仲間と思われがちですが、分蜜等であり成分的にもグラニュー糖や上白糖とほとんど差がありません。
グラニュー糖や上白糖を作った後に残った糖蜜を数回再加熱して作る砂糖です。
加熱によってカラメル色素がついたため、茶色い砂糖になります。
黒砂糖は白砂糖と何が違うの?
生成された白砂糖に比べて、不純物を取り除かずにそのまま煮詰めた黒砂糖(黒糖)。
実際に成分を見てみましょう。
黒砂糖:ショ糖75〜86%、転化糖2〜7%、水分5〜8%、灰分1.3〜1.6%、356キロカロリー
細かい数値は商品によって異なるようですが、確かにショ糖の比率が白砂糖に比べて低くなっていますが、驚くほどの差ではありません。
ナトリウムなどを含む灰分の構成としては、カリウム、カルシウムが多く、鉄やマグネシウム、リン、ナトリウムなども少量含んでいます。
確かに、ミネラル分が多く含まれていて白砂糖より様々な栄養素を含むのは事実のようです。
「精白糖は体に悪い」それって本当?
精製した砂糖が悪いと指摘する意見では、白砂糖が白いのは漂白剤が使われているからだと主張される場合がありますが、それは間違いです。
白砂糖が白く見えるのは、結晶の純度が高く無色透明だからです。
また、不純物を取り除く精製の段階で石灰や炭酸ガスが使われることを問題視する声もあるようですが、それらもほぼ取り除かれて残りません。
逆に言えば、分離をしない黒砂糖には石灰(カルシウム)が残ることになります。
さらに、血液がアルカリ性なのに対し砂糖は酸性食品であり、体に害を及ぼすという考えもあるようですが、そう言った事実はありません。
砂糖は酸性食品ではありません。
また、黒砂糖はミネラルが豊富というのは事実で、白砂糖より体に良いという意見も嘘ではないでしょう。
しかしそれは比較の問題で、含有量は大した量ではありません。
黒砂糖で人間に必要なミネラルを補おうと思ったら、いくら体に良いと言っても糖分の摂りすぎになるでしょう。
実際にミネラルを摂取しようと考えるなら、黒砂糖ではなく別のミネラル豊富な食材から摂取するのが合理的だと私は思います。
東洋医学の世界では、白米や小麦粉など「精白・精製されたものは体に悪い」という考えがあります。
人工的につくった食材や調味料、添加物など、自然本来の状態からかけ離れたものは、体に害をなすという視点は、マクロビオテックなどでもよく聞かれます。
しかし、現時点で明確な科学的根拠は出てこないのが現実です。
今後の研究によって根拠が解明されてくるかもしれませんが、闇雲に「白砂糖は悪い!」と非難し避けるのは意味がないように私は感じました。
ただし、砂糖、とりわけ白砂糖は純度が高い分ダイレクトに糖分・カロリーの摂取量を左右します。
料理や食品にはいたるところで砂糖が使われていますし、清涼飲料水の砂糖含有量は昔から問題視されています。
食材の砂糖含有量をこまめにチェックして糖分の摂りすぎを防ぐのが、シンプルな健康への第一歩なんだろうなだと私は感じます。
まとめ
・砂糖の原料はサトウキビ・テン菜。作り方で含蜜糖と分蜜糖の2種類ある。
・白砂糖は分蜜糖。ショ糖が結晶化した純度の高い砂糖。
・黒砂糖は含蜜糖。白砂糖に比べると純度が低くミネラル分が多い。
・東洋医学的観点では精製食品は害だが、白砂糖が体に悪い科学的な根拠ははっきりしない。