「由緒正しい」「由緒ある」とはあまり日常会話では使う機会がありませんが、神社やお寺のホームページを見ていると必ずといっていいほど「由緒」と出てきますね。

「歴史?」「概要?」と想像では思いますが実際はどうなのでしょうか?

 

そんな「由緒正しい」「由緒ある」ってどんな意味があるのでしょうか?

「由緒」の語源や意味、例文をご紹介します。

「由緒」の意味

 

由緒とは「物事の起こり、現在に至るまでのいきさつ」「現在に至るまでの歴史」「長い歴史を経てつくりあげられた歴史」などの意味があります。

「由緒正しい」と「由緒ある」はほぼ同義でありますが、「由緒正しい」は主に家柄に対して使われているようです。

 

意義素として「家柄が高貴である様」「長い歴史や伝統がある様」「身分や血筋が高貴な様」が挙げられます。

 

類語として大きく分けると「いわれ」「由来」「来歴」が挙げられます。

「由緒」の過去の出来事という意味合いだと「成り立ち」「素姓」「筋道」「前歴」「歴史」「経緯」「履歴」「故由」「叙事文」「話説」「実記」「編年史」「語り草」「語り種」「由縁」「年代記」「ストーリー」「ヒストリー」などがあります。

 

「由緒ある」となると「その歴史や家柄が存在しているのかな?」と思いますが、「由緒正しい」ってどういう意味?と思う方もいるのではないでしょうか。

歴史や家柄、経緯などに正しいと表現するのは実際に不思議ですね。

「由緒正しい」は出自が明確であることという意味合いが強いようです。

明確であるイコール正しいと表現されているようですね。

家柄に対して「由緒正しい」と表現するときは何代にも遡って血統が良い人をいう場合が多く、1代で築き上げた家柄や財産などに対しては「由緒正しい」とはいわないようです。

「由緒」「いわれ」「由来」「来歴」の使い分け

 

「いわれ」は物事が起こった理由。

「由来」は物事が今まで辿ってきた経過、物事がいつ・何から起こり、どのようにして現在まで伝えられてきたか。

「来歴」は物事のそれまで経てきた次第、筋道、人の経歴。

 

類語として「いわれ」「由来」「来歴」を挙げましたが、使い方によってはニュアンスが多少変わってきてしまいそうですね。

「由緒」「由来」「来歴」は物事の経過やいきさつといった意味合いが強いですが、「いわれ」は物事の起源という意味合いが強いようですね。

 

例えば「神社の創立から現在」というテーマで言葉を選ぶとすると、「由緒」「由来」「来歴」は物事の経過、いきさつを表すので適切ですが、「いわれ」の場合は創立のみに視点が置かれるので適切ではありませんね。

似ている言葉でも本来の意味合いは多少異なっているので、適切に使っていきたいですね。

「由緒」の適切な使い方

 

「その家は藩士という由緒正しいものであった」「由緒正しい血を引いている」「由緒正しい風格」「これは由緒ある品物だ」など高貴なものに対して「由緒」を使うことが多いようです。

 

英語例文のなかで「由緒が不詳である」という一文を見つけました。

今まで前述したものでは「由緒」という単語のみで「明確な様を意味している」というところに視点を置いていたので「由緒が不詳」という否定の言葉を使うのに驚きました。

 

「由緒」の意義素として「家柄が高貴である様」「長い歴史や伝統がある様」「身分や血筋が高貴な様」を挙げました。

「由緒」という単語のみに高貴である様、明確な出自がある様という意味があると思っていましたがそれらを否定する形で「由緒が不詳」という言葉が使われていますね。

 

「不詳」には詳しくわからない様、はっきりとしない様という意味があります。

「由緒」という単語のみに高貴である様、明確な出自がある様という意味があるのなら「不詳」がつくと否定というより正反対な言葉という印象がありますね。

まとめ

 

 

・由緒とは「物事の起こり、現在に至るまでのいきさつ」「現在に至るまでの歴史」「長い歴史を経てつくりあげられた歴史」などの意味。

・類語として「いわれ」「由来」「来歴」が挙げられる。

・1代で築き上げた家柄や財産などに対しては「由緒正しい」とはいわない。

 

由緒正しいというとそれだけで高貴な様があるように感じ、日常会話ではあまり登場しませんね。

ひとつの単語をとっても類語や意義素などさまざまな言葉が絡んできます。

似ている言葉でも意味をしっかりと把握することで自ずと使い分けができます。

正しい日本語を適切に理解して使っていきたいですね。

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