ろうそくは誕生日や仏壇などに昔からよく使われていますが、最近では癒しの効果があるとして、イベントなどに利用されることが多くなっています。
私の住む地域でも、氷で作った器の中にろうそくの火を灯し、「アイスキャンドル」として訪れる人々を楽しませています。

ろうそくの炎を見ていると穏やかな気持ちになるのは、「1/fゆらぎ(エフ分の1ゆらぎ)」が関係しているといわれています。
「1/fゆらぎ(エフ分の1ゆらぎ)」とは、蛍の光や打ち寄せる波の音や星のまたたきなど、リズムが一定ではない規則性のない自然界のリズムのこと。
このリズムは、人間の心を落ち着かせて癒しの気持ちをもたらしてくれるものなのです。さらに、ろうそくのオレンジ色の炎が人間の副交感神経を高め、精神の安定や不眠の解消を促すともいわれています。

この癒しをもたらしてくれるろうそくの炎は、ろうそくが溶けてなくなるまで燃え続けますが、このろうそくの正体は何かご存知でしょうか?
また、どうしてろうそくは燃え続けることができるのでしょうか?その謎に迫っていきたいと思います!

ろうそくの原料は石油の精製工程からできるワックス


ろうそくの原料は、主に石油を精製してガソリンや潤滑油が作られる際に、残り物としてできる粗蝋(あらろう)です。聞き慣れない名前ですが、ワックスといえば聞いたことがあるのではないでしょうか。例えば、車好きの方なら洗車をするときに使うだろうし、スキーやスノーボードに行く方なら、板に塗りますよね。なぜワックスが使われるかというと、水をはじく性質があるためです。車に使うのは、雨が降っても水滴が滑り落ちるようにするため、スキーに使うのは滑りをよくするためなのです。

昔は、ミツバチの巣を構成している「蜜蝋(みつろう)」を使ってろうそくを作っていました。ところが、それには花粉や幼虫の繭、排泄物が付着するため、不純物が多く精製することが大変でした。のちに技術が進み、19紀後半からは石油からろうが作られるようになったといわれています。

なお、ろうそく用のろうは、熱による変形や液体のろうが垂れないように改良されたものであり、炎を安定させるように組成を調整したものが使われています。現在でも蜜蝋を使ったろうそくは売られていますが、値段は石油から作られたものより高価です。生産コストがかかっていることはもちろんですが、石油由来のろうそくが燃えるときの独特なにおいが蜜蝋で作られたものにはないため、高級品として扱われています。

ろうは、高級脂肪酸(R-COOH)と高級アルコール(R’-OH)のエステル結合(酸とアルコールの間で水H2Oが失われることによって結合すること)をしています。なので、化学式はR-COO-R’になります。(R、R’は任意の化学式)

<例>

R-COO-R’
蜜蝋 パルミチン酸ミリシル C15H31COOC30H61
鯨蝋 パルミチン酸セリル C15H31COOC16H33
羊毛蝋 オレイン酸コレステロール C17H33COOC27H45

ろうそくが燃え続けることができる理由


ろうそくが燃えるときにはまず芯に火が付きますが、その熱で周囲のろうそく本体が解け始めます。
よく見ると、ろうそくを形作っていたろうが液体に変化していることがわかります。これは、ろうの主要成分であるパラフィンワックスの融点(固体から液体へ変わる温度)が60~80℃と低く、ろうそくの炎で容易に融解するためです。

液体になったろうは、ろうそくの芯の部分にしみこみます。そのとき、毛細管現象という物理現象が起こります。この現象は、グラスに入ったジュースにストローを差すと、ストローの中をジュースが上昇してくるように、細い管の中の液面が周囲の液面より高くなることをいいます。この現象により、液体のろうは芯を伝わって上昇し、炎の熱によって蒸発して気体に変化します。そうすると、その気体は空気中の酸素と触れやすい状態となります。酸素は他の物質と結びつく際に、明るい光や熱を出す性質がありますので、気体になったろうと結びつくと炎が出る仕組みとなっています。この動作を繰り返すことによって、ろうそくは本体がなくなるまで燃え続けることができるのです。

では、ろうそくの芯が無いとろうそくは燃えないのでしょうか?
答えは燃え続けることができなくなるので、燃えません。芯の役割は、液体となったろうを吸い上げる役割をしています。つまり芯が無いと液体のろうを供給することができず、気体のろうを作り出すことができません。そのため、燃え続けることができなくなってしまうのです。

まとめ

  • ろうそくの原料は、石油を精製するときに残り物として生成される粗蝋(ワックス)
  • ろうそくが燃えるのは、液体のろうが炎によって気体となり、酸素と結びつくため
  • ろうそくが燃え続けることができるのは、芯が液体のろうを供給し続けるから

ろうそくが燃えるためには、固体であるろうを液体に融解し、さらに気体へと変化させ酸素と結びつかせるという工程が必要です。そのために、ろうそくの芯は非常に重要な役割をしているのですね。

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