どの人にも必ず、生活リズムを刻む『体内時計』を持っています。私の場合、朝6時に起きて、夜12時前に寝るといったサイクルを繰り返しています。つまり、人間は時間になるとお腹が空き、夜になると眠くなり、朝になると目が覚めるといったリズムが備わっています。この1日の生活リズムが『体内時計』です。

 

ところが、普段生活している場所と時差がある場所に飛行機で高速移動した場合に、体内時計のリズムと目的地の時間とでズレが生じることで、心身にさまざまな不調が現れることがあります。それが「時差ぼけ」です。その症状は、睡眠障害、頭痛、疲労感、食欲不振など、人によって違います。中には時差ぼけにならないという人もいますが、逆に改善するまで1週間以上かかる人もいます。

 

「せっかくの楽しい海外旅行を時差ぼけで台無しにはしたくない」「目的地に到着してからすぐにでも行動したい」と思っている方のために、「出国前からできる時差ぼけ対策」や、「時差ぼけを予防するための飛行機での過ごし方」をご紹介します!

出国前からできる時差ぼけ対策

 

一般的に、西へ行くより東へ行く場合の方が時差ぼけしやすくなると言われています。日本出発の場合、東南アジアやヨーロッパなどは西方にあたり、アメリカ本土やハワイは東方にあたります。もちろん日本への帰路は逆向きとなるので、ヨーロッパの場合は行きよりも日本に帰ってきた時の方が、時差ぼけがひどいと思われる方が多い傾向にあります。

 

例えば、日本との時差が-17時間(サマータイムシーズンは-16時間)のロサンゼルスへ直行便で行く場合、仮に日本を午後5時に出発すると、ロサンゼルスまでおよそ10時間のフライトになりますので、到着するのは日本時間で翌日の午前3時、現地時間では当日の午前10時となります。

 

つまり『体内時計』では未明のはずが、目的地ではお昼前になってしまっています。これでは生活リズムが狂うのも無理ないですね。このときに、数日前から到着地の時間を意識した生活に少しずつでもシフトできていると、時差ぼけ防止の可能性が高まります。

 

アメリカなど東を目指す人は、機内でぐっすり眠れるように出発前から早寝早起きを心がけてみましょう。ロサンゼルスの例の場合、少しでも早く寝る癖をつけておけば機内で睡眠をとることができ、到着後の体の負担を幾分減らすことができます。逆に夜型の人にとっては、機内でほとんど睡眠がとれずにそのままお昼を迎えてしまうことになり、徹夜したことと同じような状態に陥ってしまいます。

 

ヨーロッパなど西に向かう場合は、反対にいつもより生活時間を少し遅らせて遅寝遅起きをしてみると、時差の影響をあまり受けずに済みます。日本との時差が-8時間(サマータイムシーズンは-7時間)のフランス・パリへ直行便で行く場合を考えてみると、日本を午前11時に出発する場合、およそ12時間半のフライトで日本時間の当日の午後11時半、現地時間では当日の午後3時半にパリに到着します。

 

この場合『体内時計』はまだ日本時間のままであり、到着が夜中であると錯覚していますから、遅寝遅起きをしておけば到着した後も行動ができるというわけです。

 

このことから考えて、この章の冒頭で述べた「東の方へ行くと時差ぼけがひどい」というのは、無理やり早起きをさせられたことと同じような状況になるから、と私は思っています。つまり、時差ぼけになりにくい人は、朝にスッと起きられる人なのかもしれません。

時差ぼけになりにくい、飛行機の中での過ごし方

 

出国前の時差ぼけ対策は、東に行くのか、西に行くのかで起床時間や就寝時間を調整することでした。では、渡航当日にできる時差ぼけ対策はあるのでしょうか?飛行機の中での過ごし方で時差ぼけを予防する方法をいくつか挙げてみます。

 

①飛行機に乗ったら、すぐに現地の時刻に時計を合わせる

これは基本中の基本。目的地の時間に合わせて食事・睡眠をとるために、必ず時計を合わせましょう。

 

②機内食は現地時間を意識して摂る

機内食は、基本的に到着地の時間に合わせて提供されます。生活リズムをつかさどる体内時計は、太陽などの光の明暗によって大きく影響を受けますが、3回の食事によっても調整されます。この食事が、現地時間の朝食・昼食・夕食のどれにあたるのかを意識して食べることで、現地の生活リズムに合わせやすくなるのです。

 

③眠るタイミングを調整する

出国前に現地時間に合わせて就寝時間、起床時間をずらしたように、現地に到着するのが何時なのかを考えて睡眠をとりましょう。例えば、日本を夜に出発してヨーロッパに朝到着する場合、フライトの前半は眠らないよう努力し、後半に眠るようにします。到着が夜の場合には、機内でしっかり睡眠をとってしまうと、ホテルで眠れない状況になることもあるので要注意。また、機内ではいつも以上に睡眠のコントロールが難しくなります。耳栓や携帯用のネックピローなどを用意して、少しでも心地よく眠れる工夫をしてみましょう。

 

④水分をしっかり摂る

脱水状態になると、より強く時差ボケを感じさせる要因となります。エコノミー症候群を防ぐためにも、こまめに水分を補給しましょう。また、億劫がらずトイレに足を運んだり、ギャレーまで飲み物をもらいにいったりして、たまった血液を動かしてやることも大切です。

まとめ

・時差ぼけ対策は出国前からできる

・到着地の時間を意識した生活に事前にシフトさせることで、時差ぼけの対策となる

・飛行機の中では「時計を現地時間に合わせる」「現地時間を意識して食事を摂る」「眠るタイミングを調整する」「水分をしっかり摂る」

 

せっかくの海外旅行が時差ぼけで全く楽しめなかった…ということにならないように、万全の時差ぼけ対策をして旅を楽しんで下さいね!

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