硝酸カリウムと聞くと、第一印象は「危なそうな薬品?」と思う方も多いのではないでしょうか?
しかしこの物質は食品添加物としても使用されているそうです。
硝酸カリウムの役割や安全性、危険性などを併せてご紹介します。
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硝酸カリウムとは?
硝酸カリウムは硝酸塩の1種。
硝酸カリウムは花火やマッチ、黒色火薬、肥料、発煙筒、ろうそくの芯、歯の研磨剤、たばこの燃焼性を向上させるために使われていることが多いです。
可燃物と一緒に燃焼させるとカリウムの炎色反応によりピンクや紫色の炎があがります。
また、硝酸カリウム自体は燃えることはありません。
硝酸カリウムは天然の無色の結晶で、乾燥地帯で硝石として産出されています。
水より重い性質があり、水溶性の性質を持っています。
融点が333度で400度で分空きして酸素を発生させます。
火災予防として加熱や衝撃、摩擦、強酸との接触は避けます。
保存方法は密栓するのが原則です。
戦国時代の日本では便所の床下に蓄積した硝酸カリウムを発掘したり、枯れ草に尿をかけて発酵させて硝酸カリウムを生成して入手していました。
硝酸カリウムに似ている硝酸ナトリウムという物質もあります。
こちらも無色の結石で、太平洋沿岸で産出されることからチリ硝石と呼ばれています。
硝酸ナトリウムもマッチや煙草の原料、爆薬などに使われていて、用途も硝酸カリウムと似ていますね。
硝酸ナトリウムはホウレン草や白菜などの葉物野菜に含まれていますが、口にすると亜硝酸ナトリウムに変化し、ニトロソアミンという物質になってしまう恐れがあるそうです。
硝酸カリウムは素人でもつくることが可能です。
硝酸アンモニウムが含まれるインスタントコールドパック、水酸化カリウム、お湯、コンテナ、コーヒーフィルターが用意できれば比較的簡単に硝酸カリウムが生成できます。
しかし毒性のあるアンモニアガスを大量に生成し、水酸化カリウムは腐食性が非常に強いので知識や設備がない方には向いていません。
食品添加物としても硝酸カリウムは使われている?
硝酸カリウムは性質を見る限り、「食品へ使えるものなのかな?」と思えてしまう物質ですよね。
果たして現代でも食品添加物として用いられているのでしょうか?
また、どんな場面で食品添加物として使われているのでしょうか?
日本では昭和32年に硝酸カリウムが食品添加物として認可されたそうです。
保存食の製造過程で、塩漬けされた肉への添加物として硝酸カリウムが用いられています。
発色剤や防腐剤としての役割があります。
現在でも硝酸カリウムはハムやソーセージ、ベーコン、サラミ、鯨肉ベーコンに使われていることがあります。
硝酸カリウムが毒性の強い食品添加物なので1日許容摂取量と使用限度が定められています。
1日許容摂取量は体重1キログラムあたり5mgです。
下記で改めて書きますが、硝酸カリウムには人体に対して慢性毒・発がん性が認められています。
自家製ベーコンなどをつくりたい人がボツリヌス菌の繁殖抑制、発色作用のため食品添加物として硝酸カリウムを購入した場合もあるかもしれません。
調べてみましたら薬局などでは売っておらず、試薬目的の工業用のものであれば10キログラム単位などで楽天などでも売っているようですが、食品として使うのはちょっとためらわれますね。
自家製ベーコンなどをつくりたい場合は硝酸カリウムではなく岩塩や食塩を代用するといいですね。
硝酸カリウムの安全性と危険性 ニトロソアミンに注意!
硝酸塩が食肉や魚肉、魚卵などに含有されるアミンという成分に結合すると、ニトロソアミンに変化することから現代では用いられることが少なくなっています。
食肉、魚肉、魚卵などに硝酸カリウムを接触させるとほぼ確実にニトロソアミンが生成されるそうです。
ニトロソアミンは非常に強い発がん性があるといわれています。
少量でも長期間ニトロソアミンを摂取してしまうことでがんが発生すると動物実験では判明したそうです。
家畜に対して硝酸カリウム1.5%を含む飼料を与えたところ、中毒を起こして死亡した報告もあります。
ニトロソアミンの致死量は青酸カリに匹敵するといわれていますが、まずそういった急性中毒を起こすことはありません。
しかし日常的に何十年と食べるのは慢性毒・発がん性の危険性があるようです。
乳幼児や高齢者など胃腸の働きが弱い人が中毒を引き起こしやすくなるため硝酸カリウム、ニトロソアミンが添加されているものは避けるべきでしょう。
気になる方は「無添加」「無塩せき」と表示されたものを選びましょう。
まとめ
・硝酸カリウムは毒性、発がん性が強い物質。
・はハムやソーセージ、ベーコン、サラミ、鯨肉ベーコンに使われていることがあるため「無添加」「無塩せき」と表示されているのが安全。
・自家製ベーコンなどをつくりたい方は硝酸カリウムを使用せず、塩で代用しましょう。
食品添加物として使われているのに非常に危険そうな物質ですね。
乳幼児や高齢者のいる家庭はベーコンやハムなどの原材料を気にした方がいいかもしれませんね。