『羊と鋼の森』は2013年から約1年半、『別册文藝春秋』にて連載され、2015年に単行本化された、宮下奈都さんによる本です。
2016年度に本屋大賞を受賞し、一躍話題になりました。
2018年には実写映画化もされ、耳にすることも多い作品です。
これはピアノ調律師の物語です。
身近なものではないし、堅苦しくて少し難しそう…そんな風に思っていませんか?
そんな方たちに、年間100冊は本を読む文学オタクの私が、この本と映画の魅力をたっぷりご説明したいと思います!
Table of Contents
そもそも本屋大賞ってなに?
本屋大賞を受賞したというのは本当に素晴らしいことなのです!
文学の賞ってたくさんありますし、違いがわからなくていまいちピンときませんよね?
そこでこの賞についてまずお伝えします。
この賞のキャッチコピーは「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本」です。
つまり選んだのは作家ではありません。
私たちと同じ、読者の立場が選んだ賞なのです。
また、書店員さんたちはただの読者ではありません。
何冊もの本を読み、知識が備わった、「目が肥えた」読者の方たちです。
そんな方たちが、私たち一般の読者に「是非読んでほしい」と思って選ぶのが本屋大賞なのです!
2003年から開始されまだまだ歴史は浅い賞ですが、近年では、受賞することができればあの有名な直木賞や芥川賞よりも売り上げが伸びると言われているほどです。
根回しなどがなく、書店員さんの意見がしっかりと反映されているというのも特徴です。
これだけでも『羊と鋼の森』がどれだけすごい本なのかってことが分かりますね!
羊と鋼の森のあらすじ
北海道出身の外村(とむら)直樹という青年が、ピアノ調律を通していかに成長していくかというストーリーです。
高校2年生のある日、外村は学校の体育館で、たまたまピアノ調律師の仕事を目の当たりします。
これが板鳥宗一郎との出会いです。
外村は、彼が調律したグランドピアノの音に「森の匂い」を感じ取りました。
これは故郷の森と同じだ―――。そう思った彼は、それまでピアノと全く縁がなかったにも関わらず、自分も調律師を志すようになりました。
そうして専門学校を卒業した外村は、板鳥のいる楽器店で働き始めます。
調律師としてだけでなく、人間としていかに成長していくか。
それを静かに美しく、丁寧に描いた作品です。
読み終わった後、私は胸の中に温かいものが広がっていくような感じがしました。
ストーリーも勿論面白いです!
それに加え、日本語の文章の美しさにはっとされられる本でした。
文章で透明感を表すことのできる作家はそういないと思います。
宮下奈都さんの表現力に脱帽です。
羊と鋼の森のタイトルの意味とは?
『羊と鋼の森』、一見なんのことだか分かりませんよね。
これは実はピアノを表しているのです。
特設ホームページにはこんな言葉が載っています。
「『羊』の毛で作られたハンマーが、
『鋼』の弦をたたく。
ピアノの音が生まれる。
生み出された音は、
『森』の匂いがした―。」
こんな風に、タイトルにもしっかりと意味があったのです!
「ピアノ」という言葉を安直に使うのではなく、このような素敵な言い回しをするなんてうっとりですね。
羊と鋼の森の実写映画の評判は?
橋本光二郎監督は、『orange -オレンジ-』を大ヒットさせた、実力派です。
外村を人気絶頂の山崎賢人、板鳥を名俳優の三浦友和が演じます。
これだけでもズラッと豪華スタッフが揃っているのが分かりますね。
さらに、エンディングテーマはジブリで有名な久石譲が作曲し、辻井伸行が演奏をします。
これは音楽好きにも堪りませんね!
映画の雰囲気もぴったりなので、是非映画館で聞いてほしいと思います。
さて、本や漫画を実写化するとなると、よく論争が起こっていませんか?
それは「原作のイメージと違っている!」というものです。
私も最初はそう思っていました。
原作ならではの世界観を映像で表現できるのかな…と不安でした。
しかし、この映画は原作のイメージを損なわない、映像の魅力を生かした素敵な作品でした!
文章からは想像するしかなかった「音」が見事に表現されていて、間違いなく名作だと思いました。
まとめ
- 名誉ある本屋大賞を受賞、書店員さんが本当に薦めたい本である。
- ピアノ調律を通して、調律師として、人間として成長していく物語。
- タイトルの『羊と鋼と森』はピアノを表している。
- 原作に劣らず!実写映画も素晴らしい出来。
原作も実写映画も、それぞれ大変素敵な作品です!
クラシックにはあまり興味がないかも…という方も。
どちらも決して堅苦しいものではありませんし、きっと心に残る作品になります。
是非手にとってみてください!